腹筋を鍛える

年を取れば、姿勢は崩れます。長年の身体の使い方の癖が蓄積された結果です。お年寄りの典型的な姿勢が、「スエイバック」。スエイバックをパソコンで検索してください。肩甲骨が背骨の後ろ来てり下っ腹が前に出ている姿勢の画像が出てきます。街でよく見かけます。若い人でもこの姿勢の人は多いてですが、かなりのお年寄りはこの姿勢に陥っています。この姿勢の人はアグラや長座が苦手です。骨盤が後傾しているため床座りが苦痛です。椅子に座った時も背もたれに身体をあずけないと辛かったりします。原因は腹筋が弱っているから。特に下腹部の筋力が弱っています。下腹部の筋力が弱っているから骨盤が立ちません。また、腹筋が弱いと、便を押し出す力が弱くなり便秘になったり、横隔膜を十分に動かすことができず呼吸が浅くなります。

 

概して、哺乳類は背筋より腹筋が弱いです。なぜなら、哺乳類はお腹側で子供を妊娠しなければならず、お腹側には背筋に比べて十分な筋肉を配置する場所が少ないからと推察します。さもなければ、次世代を繋ぐことができない。哺乳類にとってお腹は急所ですから、犬や猫は信頼する人いがにはお腹を見せることはありません。

 

さらにです。ヒトは二足歩行をしたため、四つ足動物に比べ下腹部への負担は大きい。本来はもっと下腹部に筋肉を配置しなければならないにもかかわらず、生殖のためにそのスペースが足りない。二足歩行が出来たために手を使えるようになり文明を興せたのですが、ヒトは進化の過程で身体的な妥協をせざるを得なかったのでしょう。よって、綺麗な姿勢を保ちたいのであれば、意識して腹筋を鍛え続けなければなりません。

 

腹筋が十分に働かないと、その分身体の他の部位に負担がかかります。膝や腰や肩の痛みは腹筋の無さがその要因の一つです。膝痛、腰痛、肩こりという言葉は聞いたことがありますが、”腹こり”は聞いたことありません。抱腹絶倒でお腹が痛くなることはあるかもしれませんが。腹筋は十分に鍛えることが可能なのです。子孫を繋ぐために元来十分な腹筋が無い状態で生を受けたヒトですが、健やかに天寿を全うできるような力を授かっているのでしょう。

 

高齢者の姿勢の崩れについてもう一点。若いヒトであれば、姿勢の崩れはそれほど酷くありません。生物の生きる目的は次世代へのバトンタッチですから、生殖を終えたものは死んでいきます。鮭は産卵を終えると死にます。50代以上のヒトは動物であれば生きていません。私もとっくに死んでいます。しかしです。ヒトの生きる目的は、単に次世代へバトンタッチだけでなく、一人ひとりがそれぞれのテーマや仕事に取り組むことでより良い社会を築くことにもあります。人生が長くなればなるほど、取り組む時間も長くななりますし、その人の業績も偉大になってくる。まさに、人生100年時代です。腹筋を鍛えようではありませんか。