通常、ポルトガル語では目的代名詞は動詞の後に置く。かなりのポルトガル語の文法書を読みましたが、この重要な事項について言及または強調している書籍は少ないです。英語では、目的代名詞が動詞の後に続くからなのでしょうか。しかし、スペイン語からポルトガル語に入った人は、「目的代名詞は動詞の前」と先入観を持ってしまいます。私もそうでした。なので、このルールを知ってからポルトガル語の書籍が読み易くなった記憶があります。
では、実際の例をとってスペイン語とポルトガル語を比べていきます。
Compré un bolígrafo ayer. 私は、昨日ペンを買った。→ Lo compré ayer. 私は、昨日それを買った。
*ペン(bolígrafo)を代名詞(lo)に置き換えると、動詞の前に来ます。
ポルトガル語では、
Comprei uma caneta ontem. → Comprei-a ontem. となります。
*”a”はcaneta(ペン 女性名詞)の目的代名詞。
スペイン語では、命令形では目的代名詞は動詞の後に置かれます。
Cómpralo. それ(ペン)を買って。
ポルトガル語でも同様です。
Compra-a.
加えて次の5つの事例において、目的代名詞は動詞の前に置かれます。
1)否定分 Não a comprei ontem.
2)Que,Quando,Onde,Qual,Comoの疑問文 Onde a compraste ontem? どこでそれ(ペン)を書いましたか。
3)副詞節 Estava na cidade quando a comprei. それ(ペン)を買った時、町に居ました。
4)不特定代名詞(todo, alguém, qualquer, cada.など) Alguém a comprou. 誰かがそれ(ペン)を買った。
5 )副詞 (〜mente以外)が使われた時 Talvez ele a comprasse. きっと彼がそれ(ペン)を買ったのでしょう。
かなりの確率で目的代名詞は動詞の前に置かれます。
さて、加えてブラジルルールがあります。
ブラジルでは、主語に代名詞が使われる場合は目的代名詞は動詞の前に置かれます。
Você a comprou. あなたはそれ(ペン)を買った。しかし、você(あなた)を省略するとComprou-a.です。
一方、ポルトガルでは
O Senhor comprou-a. であり、Comprou-a.です。
19世紀のブラジルの作家のMachado de Assisの作品を読むと、ポルトガルルールで書かれています。ブラジルにスペイン人の移民が増えてスペイン語よりになったのかな。。。