お酒について

「飲酒は喫煙と同じくらい健康に悪い。」こう言うと、「酒は百薬の長」と晩酌を楽しみにしている方からの反論が聞こえます。確かに、ギリシャ人が高齢になっても元気なの一杯か二杯のワインを日々飲んでいるからとの研究報告があったり、フランス人に心臓血管の病が少ないのはワインを飲む習慣があるからではとの仮説(フレンチパラドックス)があったりします。でも、実際はどうなのでしょうか。

 

一方で、最近の研究ではアルコール一滴飲んだだけでも脳細胞が破壊されるとしています。実際、禁煙同様、禁酒を促す医師も増えています。フランスではワインの消費量や、日本でも酒の消費量は減少傾向にあります。特に若い世代での減少が顕著で、今の大人世代が若い時より飲んでいない様です。禁酒が流行なのでしょうか。

 

サラリーマン時代、私は飲兵衛でした。しかし、今ではほとんど飲みません。誘われた時に飲む程度です。「お酒が好きか」と訊かれれば、「はい」と答えるでしよう。今でも好きなお酒や焼酎の銘柄は覚えています。舌が味を覚えています。しかし、今はお酒を飲みたいと思うことは減りました。飲んだ後に不快が残ることが多くなりました。お酒が本当に美味しいのは最初の一杯なのでしょう。飲酒は禁煙と同じくらい健康に悪いに賛成。

 

サラリーマンは仕事の後に同僚と飲みに繰り出します。彼らの話しに耳を立てると、「愚痴」や「不満」のオンパレード。上司の悪口、会社の悪口、社会への不満。楽しいお酒より不満の捌け口としてのお酒が際立ちます。不満が爆発する前に毒だしをするという観点では、お酒は社会を安定させるものだとも言えます。しかし、一度、お酒を飲んで愚痴ると、止めどなく出てくる。ドメステックバイオレンスの要因にもなっていますね。想像ですが、犯罪者はことを起こす前にお酒をあおっているのではないでしょうか。また、革命を起こす前にも革命家は飲んでいたのでは。

 

お酒の消費量は減っているようですが、技術の進歩でお酒の生産性は向上しています。フランス革命ロシア革命の時代よりはるかに大量のお酒が生産可能です。お酒は健康に悪いだけでなく社会にとっても毒だと思う次第です。タバコよりタチが悪い!?