コーヒーは身体に良い、悪い?

昔からコーヒーは身体に良くないと言われます。家庭では子供に飲ませたりしませんし、妊婦には勧めません。しかしながら、近年コーヒーの健康効果に関する研究が公表されています。それらによると、コーヒーを三から四杯飲む人は飲まない人に比べて肝臓疾患での死亡率が80%低いとか、カフェインに脂肪燃焼効果があり痩身効果があると言うのです。もちろん、コーヒーに砂糖を入れてはいけませんが。さて、コーヒーは身体に悪いのでしょうか、良いのでしょうか。

 

私のヨガの生徒さんで70代の方はコーヒーを一日に三、四杯飲むと言っていました。「身体に良いとテレビで言っていた」と彼女は言うのです。テレビの影響からでしょうか、健康に良いとコーヒーを飲む人の続出です。「コーヒーは嗜好品であり健康のために飲むものではないでしょう。」と私が言ってもテレビで医師が主張するコーヒーの健康効果を覆すことは出来ません。

 

一方で、コーヒーの害についても言われ続けています。最近ではコーヒーやカフェインをある一定期間断つ「コーヒー断食」が注目されています。コーヒー断食の効果は次の通りです。

◎睡眠の質の向上。

◎スッキリとした目覚め。

◎体温の上昇。免疫力の向上。

◎肌質の向上。

こうした効果の他に、「カフェイン中毒」から抜け出せるとも言われます。しかしながら、この「カフェイン中毒」は多くの人が患っているにも関わらず、気づいていない人が殆どだそうです。「カフェイン中毒」を患っている人がコーヒー断食を行うと初期段階で頭痛に見舞われるとのことです。カフェインはコーヒー以外にお茶やチョコレートやエナジードリンクにも含まれています。

 

さて、コーヒーを考える上で、押さえておかなければならないことがあります。コーヒーは砂糖や綿花や小麦のように商業植物であるということです。コーヒーの原産はアフリカのエチオピアです。かつてはアラブ世界が嗜まれていたものが、戦争を契機としてヨーロッパにもたらされ、その植民地で大規模に栽培されるようになりました。いわゆるプランテーションです。プランテーションの経営には多くの黒人奴隷が動員されました。

 

また、近年のお茶との消費量を比較するとコーヒー産業がいかに大きいか理解できます。ざっくり、コーヒー10万トン。お茶6千トン。いずれも世界での消費量です。一匙から抽出できる量はコーヒーとお茶それぞれどの位かは分かりませんが、その差は歴然です。帝国主義の時代には力のある国がコーヒープランテーションの経営に勤しみ富を手にし、現在は大企業がコーヒー産業を支配しています。

最近目にする「フェアトレード」は、価格を若干高めにしコーヒー農園に還元し、コーヒー農園が品質の高いコーヒーを生産し続けられるよう支援する運動です。末端のコーヒー生産者が搾取される状況は今も昔も変わりないようです。しかしながら、フェアトレードコーヒーの占める割合は10%にも達しません。質よりも利益を優先する巨大資本には敵わないのでしょうか。

 

ところで、コーヒーの最大の生産国はブラジルということは誰でも知っていますが、二位の生産国がベトナムということはほとんど知られていません。ブラジルの生産量は全体の35%を占め、ベトナムは15%にも及びます。ベトナムでのコーヒー栽培が本格化するのはベトナム戦争後、疲弊した経済を立て直すためにコーヒー栽培が推奨されました。コーヒーの巨大資本にとっては安価な労働力が魅力です。コーヒーにはアラビカ種とロブスタ種があります。ロブスタ種は比較的栽培の手間が掛からずカフェインの含有量がアラビカ種の二から四倍です。インスタントコーヒーにはロブスタ種が使われます。ベトナム産のコーヒーのほとんどはロブスタ種です。戦争中にアメリカ軍がベトナムに散布した枯葉剤はその森林の30%にも及びます。枯葉剤の散布された地でコーヒー栽培がなされているのは想像に固くありません。

 

コーヒーの健康効果の真相に戻ります。これらの研究がコーヒーの巨大資本の支援を受けているとしたら? 私はこう想像します。コーヒーが含有するクロロゲン酸には肝臓の解毒作用があります。研究者はクロロゲン酸に焦点を当て論文を発表します。コーヒーのデメリットには言及しません。コーヒーと同じ商業作物の砂糖の健康効果は聞いたことがありません。科学者が如何に研究しようにも、砂糖には健康を増進させる成分を見出すのは難しいのでしょう。

 

このように考えていくとコーヒーは飲まないほうが良いのかもとの結論に達します。私もコーヒー断食を2週間やってみました。以前は日に二杯ほど飲んでいました。断食中、夜の8時には眠くなりますし、その分朝の目覚めも良くなりました。体温も36.1〜36.5から36.8〜37度に上昇しました。頭痛はしなかったのでコーヒー中毒ではなかったようです。

 

ただベジタリアンで小麦の摂取も抑え飲酒もほとんどしない私がコーヒーまで辞めると楽しみが無くなりますので、コーヒーとの付き合い方を変えてみようと思います。

◎コーヒーの摂取は一日一杯以下に抑える。

フェアトレードの豆を買う。

◎インスタントコーヒーやエスプレッソは飲まない。(エスプレッソもロブスタ種の含有率が高め)

◎正午以降はコーヒーを飲まない。

◎コーヒーやお茶の代わりにカフェインを含有していないカモミールティーやルイボスティーを飲む。

 

皆様も参考になさってください。